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ケリング・グループ
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2025年6月30日
2018年の発足以来、「ケリング・ジェネレーション・アワード」には数多くのスタートアップ企業が参加してきました。今回はその受賞企業に焦点を当て、それぞれのプロジェクトがどのように持続可能性とイノベーションを推進し、未来のラグジュアリーを創造しているのかをご紹介します。
ケリングは2018年12月、持続可能で倫理的なファッションの実現に向けたイノベーションを発掘し、そのスケールアップを支援することを目的に、「ケリング・ジェネレーション・アワード」を創設しました。このアワードは、業界の枠を超えたコラボレーションを促進し、次世代の担い手が活躍できる環境を育むことを目指しています。特に、代替原材料の開発、サプライチェーンのグリーン化、顧客エンゲージメントの革新、そしてサーキュラーエコノミーへの取り組みに重点を置いています。
ファッションアクセラレーターのPlug and Playとの提携のもとで実施されてきた「ケリング・ジェネレーション・アワード」は、現在、中国で第4回の授賞式を迎えようとしています。その取り組みは日本、サウジアラビア、さらにはグローバルなジュエリー分野へと拡大しています。
これまでに多くの起業家やスタートアップ企業がこのコンペティションに参加してきました。今回は、その受賞者たちの取り組みに焦点を当て、それぞれのプロジェクトがどのように持続可能性とイノベーションを支え、未来のラグジュアリーを形づくっているのかを詳しくご紹介します。
上海ファッションウィーク期間中に開催
テーマ:サプライチェーンにおける課題、特に化学物質とクリーンな水の確保に焦点が置かれました。
受賞企業:
1位 – Melephant:有機廃棄物から天然染料を生産する循環型システムを開発
2位 – Heyuan:革新的な水処理技術によるプリント・染色工程の改善
3位 - FeiLiu Tech:AIによるサプライチェーン最適化で過剰生産を回避
新型コロナウイルスのパンデミックによりサプライチェーンが混乱し、ステークホルダーや消費者の間で持続可能性への関心が一層高まる中、授賞式が開催されました。
テーマ:「生物多様性とその先」――ファッション業界における生物多様性の保護に焦点が置かれました。
受賞企業:
1位 – Peelsphere:海藻や果物廃棄物を活用した再生可能素材の開発
2位 – OTEX:健康的な土壌と持続可能な栽培方法の開発
3位 - Zeno Technology:バイオテクノロジーによる染料・プリント工程の革新
テーマ:「完全なる循環へ」――Redesign(再設計)、Reuse(再利用)、Recycle(リサイクル)、Regenerate(再生)、Recognize(認識)の「5R」を基調とした循環型ビジネスモデルの開発に焦点を当てました。
受賞企業:
1位 - Yi Design:セラミック廃棄物を再利用した高付加価値製品の開発
2位- PhaBuilder:食品以外のバイオマス廃棄物からPHAなどの革新的素材を生み出す合成バイオ技術
3位- Cobbler's Suggest:レザー製品の修理とデジタルツールを融合したアフターケアサービスの提供
「ケリング・ジェネレーション・アワード・ジャパン」は、グローバル・イノベーション・プラットフォームであるCIC Instituteとの提携により、2024年にスタートしました。日本で初めて開催された本アワードのトロフィーはリサイクルセラミック製で、中国で開催された第3回「ケリング・ジェネレーション・アワード」の受賞企業であるYi Designが、3Dプリンターを用いて制作しました。
また、選考プロセスを通じて顕著な成長を遂げたマイクロバイオファクトリーには、特別賞が授与されました。同社は、日本を象徴するデニム産業が抱える環境・社会課題に取り組むスタートアップ企業であり、バイオインディゴ技術を活用し、バイオマス由来またはリサイクル原料を用いた化学品製造によって、脱化石資源化を目指す点が高く評価されました。
テーマ:「サステナブル・ファッションとビューティ」
本アワードでは、サブテーマとして、「代替原材料・素材」、「製造工程」、「リテール」、「消費者エンゲージメント」の領域に取り組むスタートアップ企業に焦点を当てました。
受賞企業:
1位 - ファーメンステーション:発酵技術を活用し、食品廃棄物などから天然由来の芳香エッセンスなどのバイオ原料を生産。新たな資源を使用せず、植物由来の機能性成分を生み出すことで、サーキュラーエコノミーの推進に貢献。
2位 – アンフィコ:アメリカや欧州におけるPFAS規制に対応し、PFASフリーで透湿性・防水性を備えた革新的なテキスタイルを製造。さらに、独自の染色アルゴリズムにより、6色の糸から1000種以上の色を表現し、染色工程が環境に与える影響の低減を目指す。
3位 - アルガルバイオ:日本の海洋資源である微細藻類を、ヘルスケア、ビューティ、ファッション分野に活用するバイオベンチャー。藻類由来の機能性成分や天然色素を用いたアンチエイジング、UV吸収、保湿製品を開発。
サウジアラビア文化省傘下のファッション委員会との提携のもと、2024年にスタートした「ケリング ・ジェネレーション・アワード・サウジアラビア」は、サステナブルな実践を推進し、黎明期にある同国のファッション業界において、責任ある未来の形成をけん引する先駆的な取り組みを支援することを目的としています。
本アワードでは、受賞者全員が女性となりました。彼女たちは、パリにてケリングのサステナビリティ専門家とのメンタリングや、ケリング・ベンチャーズ・キャピタルの経営陣との面談を行ったほか、2025年4月に開催されたサステナビリティサミット「ChangeNOW 2025」に出展し、それぞれのイノベーションを発表する機会を得ました。
テーマ:顧客エンゲージメント、サーキュラーエコノミー、水資源の保護
受賞企業:
1位 - Darah Solutions Lab:持続可能なファッションを目指すスタートアップ企業として、リサイクルや現地生産施設の運営を通じて、繊維廃棄物や不要となった衣服に新たな命を吹き込む取り組みを展開。
2位 – Amused:サウジアラビア初、かつ最大規模の中古ラグジュアリーアイテムのコミュニティ・マーケットプレイスを構築。AIを活用した商品の真贋確認や、買い手・売り手のマッチング機能を備える。
3位 – Asteri:地元産の原料を使用し、Bコープ認定、ビーガン、マイクロプラスチックフリー、動物実験を一切行わないクルエルティフリーを掲げるクリーンビューティブランド。梱包材にはリサイクル原料を70%使用し、砂漠の厳しい環境にも対応する製品を展開。
「ケリング・ジェネレーション・アワード×ジュエリー」」は、世界のジュエリー業界にイノベーションをもたらし、サステナビリティを推進しようとする若い学生やスタートアップ企業が集う、国際的なコミュニティの構築を目的としています。本アワードは、CIBJO(国際貴金属宝飾品連盟)およびミラノ工科大学のコンソーシアムであるPoli.Designとの提携のもと、ジュエリーおよびサステナビリティを専門とするスタートアップ企業と世界的に有名な大学・教育機関10校から候補者を募っています。
テーマ:「セカンドチャンス、ファーストチョイス」
廃棄物を価値あるものへと変える、これまでにない素材や技法の探求に焦点を当てています。
受賞企業:
学生部門
イ・ミンソ
伝統的な韓国の打楽器「チャング」の廃棄された革を再利用し、独自のコレクション「Rhythm Reborn」を制作。
スタートアップ部門
Ianyan
中国発のブランド。従来のジュエリーでは見過ごされがちな、ひび割れたオパールや個性的な天然石の“ありのままの美しさ”に光を当てたコレクションを展開。
テーマ:「ラグジュアリー業界におけるウォーターポジティブ・インパクトを切り拓く」
本アワードでは、ラグジュアリー業界のバリューチェーン全体における水管理(ウォータースチュワードシップ)を支えるイノベーションを、次の3つのサブテーマを通じて探求します。「地球の水生態系を回復する」、「業界が抱える水関連リスクに対応する」、「消費者の水に対する意識を高め、ライフスタイルを変革する」